猫になりたい

将来の夢は猫になることです。


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人生初の大舞台が無事に終わりました

ありがとうございました!

来てくださった皆様、また、激励のお言葉をくださった皆様、誠にありがとうございました。改めて御礼申し上げます。

 

今回、弟子全員が花道のある大きな舞台で踊ることが初めてで、白塗りもカツラも衣装も大道具のある舞台も、何から何まで初めてのことでした。とても貴重な経験になりました。

 

ちょっとだけ、本物の日本舞踊を踊ることが出来た気がしています。

 

この先、このような大舞台に出演するのはいつになるのかわかりません。5年後、10年後、もしかしたら無いかもしれないなあ、とぼんやり考えております。

 

師匠は車に轢かれても車の方が壊れそうなぐらい元気な方なので、100歳を超えても元気でいてくださると思います。(師匠本人にも同じことを言ったら笑ってました)

 

なので、きっとまた同じような舞台を開催することが出来ると信じています。

 

舞台裏では

当日は、朝6時に起きて、練習を一度だけしたら着物をビシッと着て、9時には会場に入りました。私は家が近い上に、荷物が死ぬほど重たかったのでタクシーで会場に横づけです。金で解決だ!

 

会場入りしてすぐに、落ち着く暇もなくそれぞれ用事を済ませます。

 

カツラを付ける弟子たちは出番が遅いので、お菓子やお弁当をスタッフさんに配ったり、受付を設置したり。

 

カツラを付けない弟子たちは、すぐに浴衣に着替えます。彼女たちはカツラを付けない代わりに、地毛で新日本髪を結って貰っていました。

 

髪結いさんが来てくれて楽屋でセットしていたのですが、カーラーを大量に巻いた軍団がウロウロしていて笑わせて貰いました。

 

彼女たちはカーラー姿のまま、舞台で「場当たり」という、スタッフさんとの打ち合わせに挑んでました。それを見て、みんなでまた大笑い。

 

カツラを付ける弟子たちは着物のままで場当たりをしました。観に来てくださった方はご存知ですが、今回、私は「セリ」を使いました。

 

人生初のセリは楽しかったです!振動が全くなく、音も小さくて、感動しました!セリの中の壁には英語で「DO NOT TOUCH」と書いてありました。なぜ日本語じゃないのかは謎です。

 

セリから上がって来た私を見て、師匠が「どう?楽しいでしょ?」と嬉しそうにしてました。振動がない!と伝えると「技術は進歩してるのよ~」と満面の笑みの師匠。昔はもっと揺れたのかな?ていうか、ずーっと昔は人力だったんだよね、たぶん。

 

セリの確認をした後は、「後見さん」という舞台上で色々とお世話をしてくれる男性と打ち合わせ。歌舞伎で言う黒子さんのような存在です。今回、後見さんを引き受けてくださったのは、大先輩の師範のお二人でした。

 

こりゃ安心だ!と思っていたら、本番で出て来るのを一回忘れられた気がします。まあ、なんとかなったので結果オーライです(笑)

 

花道を使う弟子、スッポンを使う弟子、とそれぞれ一人ずつ打ち合わせをして、場当たりは終了。一人当たり数分でした。

 

その後、カーラー軍団はカーラーを外してメデューサ軍団になりました。私がちょっと他の用事でバタバタしている間に、メデューサ軍団は白塗りをして女子プロレスラー軍団になっていました。ここでもう私の腹筋は限界を迎えました(笑)

 

でも後でちゃんと髪の毛をセットしたら、みんなかわいくなりましたよ!髪型って重要なんですね。

 

彼女たちに「がんばってー!」と言い残して私は受付へ。開場から開演まで受付に立っておりました。

 

すると、おじさま数名に絡まれる結果に。どこに行ってもおじさまに絡まれるんですがどういうことですかね。道を尋ねられることも多いので、害の無い顔をしているのでしょう。

 

そうこうするうちに、我が母親がホカホカで到着。開演に間に合うように急いで来たようです。母親を客席に放り込んで、開演となりました。

 

お次は自分が準備する番です。着物を脱いで浴衣になり、まずはお弁当をいただきました!腹が減っては戦ができぬというやつです。

 

先輩に「余裕ねえ。大物だわ!」なんて言われながらも、みんなしっかりお弁当を食べてましたよ。和気あいあいとしているうちに、準備をする時間に。

 

最初に白塗りをして楽屋に帰って来た子がまるで「女方の名手の大物歌舞伎俳優」のようで、みんなで笑い転げていたら本人から「笑わせないでよ~。シワになっちゃうじゃないの~」とクレームが。そりゃそうだ。もうすぐ自分もそうなるんでした。

 

そうこうしているうちに私の番です。最初にまず羽二重をします。その後、顔、耳、首、背中、腕、足を真っ白に塗られました。刷毛で塗られるんですが、最初は冷たいのに途中から膜が張ったような感じになりました。不思議ー。

 

手の先は出番直前に塗るそうで、カツラを被ったら来るよう言われました。

 

お次はお化粧をして貰います。スケキヨ状態の真っ白な顔に、ピンクで額から頬のあたりまで、ぼかしながら入れます。次に眉毛を黒と赤で書いて、目じりには赤の目張りを指で入れます。アイラインもちょっと入れ、最後に紅を入れたら完成です!

 

見慣れない自分の顔にニヤニヤしながら楽屋に戻ると、案の定笑われました。良いんです良いんです。私もみんなの顔で笑いましたから。

 

ついでに時間が余っていたので、カツラを付けない組の楽屋に乱入してみました。白塗りの私の顔に笑って貰ったので引き分けということで。

 

そうこうしているうちに衣装さんに呼ばれました。衣装を着せてもらう時は黙っていうことを聞くしかありません。まっすぐ立って、両手を左右に広げて袖が邪魔にならないように持つくらいです。

 

肉襦袢?みたいなものを付けられ、真っ赤な襦袢を着せられ、黒い着物も着せられ、最後に金の帯を結びます。私が踊った演目は、赤の襦袢に黒の着物と決まっているみたいです。たぶん。

 

着せて貰ったらまた少し待機です。前の演目が始まったら舞台袖にいるよう言われていました。なのでまたまた待機です。座ると衣装が崩れるので、アテもなく楽屋をフラフラ。

 

しばらくすると2つ前の演目が始まりました。ということはそろそろカツラを被らないといけないのでは?と思ったけれど、床山さんは呼びに来ません。2つ前の演目が終わってもまだ呼ばれません。

 

心配になって床山さんのところに行くと、じゃあ被るかい?てな感じで被せて貰いました。そんな感じなんだ?みんなプロだわ。

 

カツラを被せて貰うと、ようやくまともな感じになりました(笑)カツラが終わったら顔師さんに呼ばれます。

 

手の先を塗って貰ってようやく完成です。顔師さんに着物が汚れるから、外から着物を触らないでと言われました。

 

これが微妙に難しいのです。私の衣装はお引きずりだったので、裾が長いのです。歩く時は裾を持たないといけないのですが、袖の中から裾を持たないといけないので大変でした。気が付いたら裾を引きずっていたりして…。衣装さん、すみません…。

 

カツラも顔も衣装も完成したら後は自分の出番を待つのみ。なんですが、前の演目が始まったものの、10分以上ある演目で、しかも休憩が10分入るそうなのでまだ時間はありました。

 

なんとなくフワフワしながら舞台袖に行ってみると、スタッフさんに「まだ早いよ」と言われてまた楽屋をフラフラ。

 

落ち着かなくて師匠の楽屋に行こうとしたら、2つ前の演目の子が戻って来ていました。お互いに褒め合いつつ(これ大事)、師匠の楽屋へ。

 

出番が終わった子はご挨拶をして楽屋へ。私は師匠に「落ち着かない」と伝えると、満面の笑みで「大丈夫!いつも通り踊れば大丈夫よ!それにしてもキレイよ~!似合うわね~!」と。ようやくフワフワしたのが落ち着きました。

 

そろそろ前の演目が終わるかな、と思ったので舞台袖へ。するとパイプ椅子にどっかり座っていたスタッフのおじさんが「まあ座んな」と、隣の椅子に誘導してくれました。

 

おじさんと何を話そうかな、と思っていたら目の前を師匠がパタパタと走って舞台袖に行きました。どうやら舞台の様子が気になるようで。

 

「先生が一番元気ですよね」とおじさんに話しかけると、おじさんも「それはそうだな」と笑いました。「前から先生ってあんな感じですか?」と聞くと「そうだよ。かわんねえなあ」とおじさん。出番前にちょっと笑わせてもらいました。

 

すると前の演目が終わり、スタッフのおじさんは「お、出番だ」と舞台へ行ってしまいました。入れ違いに師匠が戻って来て、また満面の笑みで「キレイよ~!大丈夫だからね!いつも通り!きちんと、丁寧に!」と言ってパタパタと去って行きました。元気だなあ。

 

舞台では大道具を設置する金づちの音が響いていました。そろそろ行った方がいいのかな、と思っていると後見さんが呼びに来てくれました。

 

舞台では場当たりで打ち合わせしたことの再確認と、大道具の確認をしていざ舞台の真ん中へ。セリの真ん中に立つと、セリがゆっくりと下がります。

 

あー、ついに始まっちゃうんだーと思っていたら、音楽がかかり、「柝(き)」の音が。歌舞伎でも同じですが、演目前や演目の終わりに拍子木を打ちます。これを「柝」というそうです。

 

私がセリの中でぼんやりしていると緞帳が上がり、拍手が聞こえてきました。そして、この一年、お稽古でも家でも通勤中でも、何度も何度も聞いた私の曲が流れてきました。

 

最初の振りは後ろ向きで中腰です。私がそのポーズを取ると、セリがゆっくり上がっていきます。あー、始まっちゃう始まっちゃう。そう思うとちょっとドキドキしてきました。

 

セリから私の頭が見えると、また拍手が起こりました。ドキドキしつつも、これはもう覚悟を決めるしかない。待ったなしや!

 

そんなことを考えながら、思いっきり振り向きましたよ。そしたら客席がよく見えるじゃありませんか。あら、真ん中には出番の終わった他の弟子たちが、あれ、花道の方には母親と姉夫婦が。

 

あらあら、と思いながら何度も踊った振りを間違えないように、音に合わせて、丁寧に、キチンと…。

 

小さなミスや、師匠に注意されたところが上手くできなかったり、ちょっとふらついたり。内心、うわーん!と思ってました。

 

でもね、舞台で一人で踊るって楽しいんですよ。だけど、今日でこの曲が最後だと思うとちょっと寂しい気持ちも。

 

私の曲は四つのパートに分かれています。それぞれ春夏秋冬を表しています。最後の冬が一番華やかで見せ場なのです。秋パートの終わり、一度袖に入ります。そして、冬パートの始まりで再登場です。その登場の仕方を非常にカッコよく演出していただきました。

 

芸者さんがお座敷で踊るという設定なので、春から秋までは障子が閉まっていました。冬になり、その障子がすーっと開くと、庭を背景に私が立っている、という演出でした。

 

ちなみに障子は大道具さんが人力で開けてくれました。しゃがんだままで大変だなあと横目で見つつ、立ち姿をお客さんに十分に見せてから舞台に出なさいと言われていたので、何秒か立ったままでおりました。

 

すると客席の実の姉が笑っているのが見えました。姉よ、笑うところではないぞ!後で聞いたら、「あまりにも堂々としてたから笑っちゃった」とのこと。なんでや。

 

実の姉に笑われながら、一番の見せ場をなんとか踊りきりました。しかし、最後の最後、目がギョロギョロ動くという恥ずかしいミスをしてしまいましたが…。

 

踊っている時は目を動かしたつもりは無かったのですが、最後の振りの時に右手に持っていた小道具が水平になっていないのが気になっていたんです。

 

どうやら無意識にそれをチラ見したみたいで…。日本舞踊は全身を使う踊りですが、目もとても大事なんですよね。今回の反省点です。

 

もう、水平になっていなくても直すわけにもいかず、そのまま幕です。最後、決まったら幕が下りるまで動いてはいけません。また、出来るだけ瞬きもしないようにしなければならないのです。

 

幕が下り、あー、終わっちゃった、と思いながらスタッフさんや皆さんにお礼をしながら袖に引っ込みます。17分弱という長い曲でしたが、あっという間に終わってしまいました。

 

次の演目の方にがんばってー!と言いながら楽屋へ。楽屋で来てくださった皆さんに配るお菓子を持って楽屋へと続く廊下へ行くと、予想よりたくさんの友人達がずらりと。お菓子をちょっとしか持っていなかったので、また楽屋へ走りました。なんなら誰もいないと思ってました!

 

順番にお話したり、写真を撮ったり、お菓子をお渡ししたり、御祝やお菓子をいただいてしまったり、本にサインしたり。衣装でサインするのはちょっと難しかったです(笑)

 

たくさんの方々に来てくださって本当に嬉しかったです。数年ぶりに会う元同僚や、家族全員で来てくれた友人、大学の同級生、本の編集者さんなどなど。ありがたや。

 

えこさん(id:Alstroemeria)も娘ちゃんと来てくださいました。えこさんは日本舞踊の予習までしてきてくださったんですよ!すごい!そのおかげか、娘ちゃんは白塗りした私にも怖がらず、お話してくれました。他の友人の子供たちは後ずさったり、睨み付けられたりしたのに(笑)

 

ちなみに、えこさんから頂いたお菓子が美味しすぎて、もうね、ちょっと太りました!先日、生徒みんなに配りましたよ。静岡出身の子がいて、たこまんだー!と喜んでました。

 

 

来てくださった方々へのご挨拶が終わったら、一旦、楽屋へ戻ります。その頃にはもう、最後から2つ目の演目が始まっていました。

 

楽屋では出番が終わった弟子たちがリラックスモードです。みんな緊張が解けて、ヘラヘラしてました。私もヘラヘラしてました。

 

ヘラヘラしてるうちに師匠の出番です。師匠の出番が終わったら、全員で舞台に出てご挨拶です。なので、舞台袖へぞろぞろと移動します。

 

袖でもヘラヘラしていると、師匠の演目が終わり、主演者全員で舞台上で並びました。

 

主演者全員でお辞儀をすると、幕が上がりました。すると大きな拍手が。あー、全部終わっちゃったんだなーと思うとすぐに幕が下がりました。

 

あれ?と思っていると、もう一度幕を上げるとのこと。私もよく分からないのですが、そういうものなのでしょうか…。そしてもう一度、幕が上がりました。皆さんに写真撮影をして頂くようアナウンスが入りました。

 

ちなみにアナウンスをしてくれたのも弟子の一人です。司会やナレーターのお仕事をしていた子なので、めちゃめちゃ良い声!

 

突然のアナウンスで、帰ろうとしていたお客さんが急いでスマホやらカメラを取り出していました。私の家族も一生懸命写真を撮っていたので、ニヤニヤしながらカメラ目線をしてあげましたよ。

 

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(他の子は隠しときますね)

 

そしてもう一度お辞儀をして幕が下がりました。あーーー、本当に終わっちゃったー!

 

舞台上では師匠が「みんなありがとう…!」とぐすんぐすんして、つられてみんなでぐすんぐすん。でも、立ち直りの早い師匠が「泣いたらダメダメ!」と大声。最初に泣きそうになったのは師匠なのに(笑)

 

舞台上でみんなで記念写真を撮り、楽屋で戻って、お菓子を持って、また皆さんにご挨拶。

 

うちの家族と同僚、元同僚、さらにはなかむーちゃん(id:summersunday)も来てくれて。ブログの雰囲気よりシュッとしてましたよ。

 

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(家族と撮った写真だけど家族を切り取るという)

 

 

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(写りの良かった、友人との写真を上げてみたりして。しかも友人を切り取るという)

 

本当に皆さんありがとうございました。お菓子をたくさん頂いてしまって、せっかく4kg痩せたのにリバウンドしそうですがありがとうございます!!!(笑)

 

ご挨拶が終わったら、カツラと衣装を急いで返しに行き、白塗りを落とそうと楽屋で悪戦苦闘していました。背中の真ん中ぐらいまで塗られていたので、お互いに背中を拭き合いました。

 

クレンジングシートやら、ウェットティッシュやらタオルやらでゴシゴシしないと取れないんです。白塗りにはオイルが一番落ちやすかったかも?シャワーを浴びてもいいのですが、帰って家で入った方が良かろうという結論に。

 

急いで白塗りを落として、軽く化粧をして、また着物を着るのですが、面倒なので訪問着で半幅帯(浴衣用の帯)で帰宅する暴挙に出ました。上にコートを着るから良いのです。

 

帰宅準備をして、楽屋を片づけて、会場を出たら19時過ぎでした。また金に物を言わせてタクシーで帰宅。大人~!

 

帰宅してもまだまだゆっくりできません。着物を脱いで、猫様にご飯を差し上げて、荷解きをして、着物を干して、洗濯物を分けて、それが終わったら自分の食事です。ちょっと一息つけると思ってスマホを見ると、死ぬほど連絡が入っているじゃないですか。死ぬー。

 

皆さんにお返事をしていたらあっという間に夜は更けて…。

 

という、怒涛の一日になりました。

 

最後に

改めて、来てくださった皆様、激励のお言葉をくださった皆様、ありがとうございました。

 

また、今回のような大舞台の際にはお誘いさせていただくかもしれません。

 

しかしながら、日本舞踊の舞台にはお金が非常にかかるもので…。特にうちの会は若い弟子が多く、あまりお金がないのが現状です。

 

というわけで、ここは私が年末ジャンボで7億円を当ててきます。ていうか当てました!!!なので、次回はもっと大きな舞台で、どーんと豪華に生演奏で開催しますね!!!

 

日程が決まったらまたお誘いします!!!

 

と、ここまで7000文字を超えてましてすまそ!!!

 

おまけ

日本舞踊のルーツや流派、道具や定番の演目については、こちらを読むとわかるかも?私も読みましたよ。ちょっと難しいかもしれませんが…。