生き急ぐ
生き急ぐとは、人生をどんどん進めて早く終えようとしているかのように見える様子、だそうです。
私が仕事を始めたのは19歳の頃。たくさん仕事もしたし、たくさん勉強もしました。あっ、それと、たくさんゲームもしました。
そんな私に対して、周りの大人たちは「生き急いでいる」と言いました。
その後、最初に入社した会社を1年半で退職し、5ヶ月間だけ実家でニートをしていました。一日中ゲームをしたり、テレビを観たり、バンドを組んだりして、遊び惚けていました。床に付くのは深夜、朝は10時過ぎに起き、時代劇か西部警察の再放送を観るのが日課でした。ゆっくり生きてみました。
ゆっくり生きたニート生活の後、会社員だった頃にお世話になった方から声を掛けていただき、仕事を始めました。その後、現在に至るまでずっと同じお客様のところでお世話になっています。
最初はアルバイト契約でしたが、個人事業主になり、実家を出て一人暮らしを再開しました。25歳の時に勢いで法人を設立しました。フルタイムで働きながら、初年度は自分で決算もして、とにかくなんでもやりました。
そんな私に、周りの大人たちは「生き急いでいる」と再び言うのです。
法人を設立した後、仕事が忙しくなってしまい、気が付けば30歳を超えていました。30歳を超えた辺りから趣味の時間が取れるようになり、大学に入学して経営学を学び、日本舞踊を習い始め、英語の勉強をして、ブログを書いて、副業もして…。
今はもう「生き急いでいる」とは言われなくなりました。その代わりに「何になりたいの?」と聞かれるようになりました。
何に、と聞かれても明確なビジョンはありません。なれるもんならミランダ・カーとかキャンディス・スワンポールとかアドリアナ・リマとか、ヴィクトリアシークレットのエンジェルになりたいです。もしくはスカーレット・ヨハンソンとかアン・ハサウェイとかレディ・ガガとかになりたいです。(なれません)
何になりたいのか聞かれるようになり、生き急いでいると言われなくなった理由について、なんとなくわかりました。私が年を取ったんです。
それなりに年を取ったのに結婚もせず、子供おらず、仕事ばかりしていると思いきや、日本舞踊をしていたり。客観的に見るとさっぱり分かりません。
人間ってなんだか分からないものが怖いですよね。だから何になりたいのか聞きたいのでしょう。とはいえ、自分でも何になりたいか分からないのに、聞かれても困ります。
返答に困ったときは「猫になりたい」と答えると、だいたいみんな『可哀そうな人だな』という反応をします。色々と察していただけると助かります。