猫になりたい

将来の夢は猫になることです。


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【30本目】呼び方

呼び方

お父さん、お母さん、パパ、ママ、父さん、母さん、おとん、おかん、父上、母上、お父様、お母様、親父、お袋。

両親の呼び方は家庭によって呼び方はそれぞれだと思います。それに呼び方は変化することもあります。小さな頃はパパ、ママと呼んでいた子供も大人になって親父、お袋と呼ぶこともあるでしょう。

 

私が子供の頃、両親の呼び方はお父さん、お母さんでした。兄と姉のことはお兄ちゃん、お姉ちゃんでした。末っ子の私はどの家族を呼ぶ時も最初に「お」が付くのです。よく呼び間違えました。

母を呼びたい時に「おに…、おね…、お母さーん!」、姉を呼びたい時に「おと…、おか…、お姉ちゃーん!」と言い間違える訳です。

 

一方、家族は私のことを「〇〇ちゃん」と呼んでいました。そのため、小さい頃は自分のことも「〇〇ちゃん」と言っていました。(〇〇は本名の最初の文字です)

小学生高学年~中学生ぐらいになって自らを「〇〇ちゃん」と呼ぶことに違和感を覚え始めました。でも今から「わたし」とか「あたし」とか言うのもちょっと気恥ずかしい。

 

ある時、閃きました。「わたし」とはっきり言わず「わし」と言えばなんとなく恥ずかしくない!ちょうどその時、大阪に住んでいたので自分のことを「わし」と呼んでも違和感はない!(あります)

というわけで、現在も家族の中では自分のことを「わし」と呼んでいます。うちの母親はオレオレ詐欺には引っかかりません。なぜなら私が電話する時は「わし」って言うからね!ワシワシ詐欺です。

ついでに母まで私のことを「わし」と呼ぶことがあります。それはちょっとおかしいけどまあいいのです。

 

ちょうど同じころ、大阪に住んでいたこともあって、母のことを「オカン」と呼び始めました。本人も気に入っていたらしく、自分のことを「オカン」と言っていました。

 

ある日、学校から帰ってテトリスをプレイするとランキングに知らない名前が登録されていました。ランキングの1位に「OKN」が君臨していたのです。

テトリスをプレイするのは私と母だけ。ということは…?OKN…OKN…オ…オカンか!!!問い詰めるとあっさり白状した母。とても気に入っていたようです。

未だに母から来る手紙やFAXの最後には「OKN」と署名されています。

 

それから少し大人になり、家族のことを家族以外の人に話す際は呼び方を変えるようになりました。父、母、兄、姉。ちょっと大人っぽくてカッコいい。家の中でも採用することにしました。

父はお父さん、母はオカンのままでしたが、兄はお兄ちゃんから「アニ」、姉はお姉ちゃんから「アネ」に変えてみました。どうやら気に入ったらしく、母も「アニ」「アネ」と呼ぶようになりました。

そんなわけで今でもアニ、アネ、と呼んでいます。

 

かくしてお互いの呼び方がおかしな家族が生まれました。自分でも改めて考えてみるととてもおかしいと思いますが、こうなってしまった以上どうしようもありません。このまま東京の片隅でひっそりと暮らしていこうと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【29本目】生き急ぐ

生き急ぐ

生き急ぐとは、人生をどんどん進めて早く終えようとしているかのように見える様子、だそうです。

 

私が仕事を始めたのは19歳の頃。たくさん仕事もしたし、たくさん勉強もしました。あっ、それと、たくさんゲームもしました。

そんな私に対して、周りの大人たちは「生き急いでいる」と言いました。

 

その後、最初に入社した会社を1年半で退職し、5ヶ月間だけ実家でニートをしていました。一日中ゲームをしたり、テレビを観たり、バンドを組んだりして、遊び惚けていました。床に付くのは深夜、朝は10時過ぎに起き、時代劇か西部警察の再放送を観るのが日課でした。ゆっくり生きてみました。

 

ゆっくり生きたニート生活の後、会社員だった頃にお世話になった方から声を掛けていただき、仕事を始めました。その後、現在に至るまでずっと同じお客様のところでお世話になっています。

最初はアルバイト契約でしたが、個人事業主になり、実家を出て一人暮らしを再開しました。25歳の時に勢いで法人を設立しました。フルタイムで働きながら、初年度は自分で決算もして、とにかくなんでもやりました。

そんな私に、周りの大人たちは「生き急いでいる」と再び言うのです。

 

法人を設立した後、仕事が忙しくなってしまい、気が付けば30歳を超えていました。30歳を超えた辺りから趣味の時間が取れるようになり、大学に入学して経営学を学び、日本舞踊を習い始め、英語の勉強をして、ブログを書いて、副業もして…。

 

今はもう「生き急いでいる」とは言われなくなりました。その代わりに「何になりたいの?」と聞かれるようになりました。

 

何に、と聞かれても明確なビジョンはありません。なれるもんならミランダ・カーとかキャンディス・スワンポールとかアドリアナ・リマとか、ヴィクトリアシークレットのエンジェルになりたいです。もしくはスカーレット・ヨハンソンとかアン・ハサウェイとかレディ・ガガとかになりたいです。(なれません)

 

何になりたいのか聞かれるようになり、生き急いでいると言われなくなった理由について、なんとなくわかりました。私が年を取ったんです。

それなりに年を取ったのに結婚もせず、子供おらず、仕事ばかりしていると思いきや、日本舞踊をしていたり。客観的に見るとさっぱり分かりません。

 

人間ってなんだか分からないものが怖いですよね。だから何になりたいのか聞きたいのでしょう。とはいえ、自分でも何になりたいか分からないのに、聞かれても困ります。

返答に困ったときは「猫になりたい」と答えると、だいたいみんな『可哀そうな人だな』という反応をします。色々と察していただけると助かります。

【28本目】どこにでも着いて行くよ

どこにでも着いて行くよ

猫ちゃんの下僕の皆さまならわかるはず。

出先でも猫ちゃんと一緒に居たい…そんな気を紛らわしてくれるものがあります。

 

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満員電車で身動きが取れず、スマホを見ることもできない時。電車内の広告も見飽きたし、周りの人たちを見ても面白くない。前の人はちょっと臭い。後ろの人はスマホを使うのに忙しいらしく、右肩にスマホを乗せてくる。横の人は何故かやたら硬いカバンを揺れる度に脇腹にねじ込んでくる。毎朝のこととはいえ、小さなため息をついてしまう。そんな時、ふと視線を自分の腕に向けるとそこには…!

 

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朝からトイレに行く暇もない。タスクをこなしてもこなしても、仕事はどんどんやってくる。でも、さすがに膀胱にも限界が。質問しに来た後輩に「ごめん、ちょっとお手洗い」と断りを入れて、カバンからハンカチを出す。するとそこには…!

 

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同僚たちと打ち合わせ。意見が合わず、時間ばかりが過ぎていく。「時間もないし、落としどころを決めましょう」そう言う私の言葉に渋い顔をする同僚。まもなくお昼休み。あーあ、と内心思いながら腕組みをする私。すると目の前に…!

 

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夜遅くまで仕事をして帰宅。電車の中はアルコールの臭い。酔っぱらったサラリーマンが大声で何かを延々と話し続けている。その連れは吊り革にぶら下がってうつらうつらしている。停車した途中の駅のホームでは床で寝ている人。なんとも言えない気持ちになり、カバンからスマホを取り出すとそこには…!

 

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お判りでしょうか。忠実な下僕のみなさんなら同じようなことがあると思います。

 

いつの間にか自分の腕に付いている猫ちゃんの毛。腕だけならまだしも、良く見てみると全身に付いています。特に背中やお尻など、自分で見られない場所には大量に付いている場合があるのでお気を付けください。

 

そして布製品にはだいたい付いている猫ちゃんの毛。ハンカチにもよく付いています。タオル生地のハンカチだと繊維に刺さっていることもありますね。手を洗った後にそのハンカチで拭くと、手に毛が付いていることがあります。ハンカチの意味があるのかは考えないことにしています。

 

誰かと会話している時や、自分が動いた後、猫ちゃんの毛が目の前をふわふわと漂っていることがあります。洋服に付いていた毛が動くことで飛んでしまうことがあるようです。真面目な仕事の話をしているのに目の前をふわふわ。ちょっと和む瞬間です。

 

猫ちゃんの毛が付くのは布製品だけではありません。なぜかスマホの画面にも付いていることがあります。静電気なのか、なんなのか。払うけど、取れないこともしばしば。そんな時はそのままで良いのです。

 

下僕のみなさん以外は信じられない!と思うかもしれません。でも下僕にとっては出先でも猫ちゃんと一緒にいられる気がするのです。それがたとえ一本の毛だとしても。

だから猫ちゃんの毛がたくさん付いている人を見掛けたら、「汚いな」と思わないでいただけると幸いです。猫ちゃんと一緒にいるんだなーと思ってくださいね。