猫になりたい

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【5本目】転校生の憂鬱

転校生の憂鬱

子供の頃、父親の仕事の都合で3年ごとに引っ越しをしていました。

しかも名古屋から大阪、大阪から東京、といったかなりの距離をです。

 

物心がつく前は友達と離れ離れになって寂しいな、ぐらいにしか思っていませんでした。引っ越しをすることが普通だと思っていたからです。

 

最後にした引っ越しは大阪から東京でした。その時、私は中学二年生。夏休みに引っ越しでした。

 

大阪では勉強はせず、部活ばかりして、ちょっと悪い友達とちょっと悪いことをしていました。(朝礼をサボって隠れていたら先生に見つかってげんこつくらったり)

 

そんな状況からの引っ越しです。私はみんなと離れるのが辛かったのを覚えています。

引っ越すことは、仲の良い友達には伝えていました。しかし、クラスのみんなには伝えませんでした。担任の先生に言わないで欲しいとお願いしました。

先生は私の願いを受け入れてくれました。お別れ会なんてものも何もなく、普通に1学期が終わったのです。たしか、鉛筆か何かをみんなの分用意して先生に託した気がします。2学期になったら渡して欲しいと。

 

クラスの誰かが転校するとなったら、だいたいお別れ会みたいなことをしませんでしたか?

色紙を書いて渡したり、みんなで歌ったり、転校生から何かプレゼントが渡されたり。で、最後に転校する子が挨拶をするのです。今までありがとう、転校しても忘れないでね、と。

 

この挨拶が私は大嫌いでした。人前で話すのが苦手だったのです。特に別れの挨拶なんて悲しくなるだけです。だから中二の時の転校は内緒にしたのです。

 

後から聞くと、私が転校したことを全く知らないクラスメイトはびっくりしていたそうです。そりゃそうですよね。

今考えると申し訳ないことをしたな、と思っています。でも、どうしても当時は別れの挨拶をしたくなかったのです。

 

転校生は元に学校での別れに加えて、新しい学校での出会いもあります。これがまた厄介です。

 

始業式が終わった後、みんなが着席している状態で先生に呼ばれて黒板の前に立たされます。そして挨拶させられるのです。

名前とどこから来たかを言って、最後によろしくお願いしますと言えばなんとかなります。本当にしんどいのはこの後です。

 

クラスメイトや隣の席の人にやたらと話しかけられたり、別のクラスから私のことを見に来る人がいるのはまだマシです。

友達を作るのがしんどいのです。気が合う友達なんてそうそう簡単に見つかりません。最初に話しかけて来た人は違うかもしれません。

 

学校の文化や雰囲気に慣れ、友達ができ始めるのは1か月後ぐらいでしょうか。私は幸い部活で友達を見つけられました。

 

大阪ではほとんど勉強しなかった私ですが、転校先の東京の学校は公立校の中でトップ10に入るような頭のいい子が集まる中学校でした。

当初は勉強に着いて行けず成績は下から数えた方がだんぜん早かったです。お察しください。その後、推薦入学できるぐらいの成績まで上げたので褒めてください。

 

東京に引っ越して来て、さすがに勉強を始めた私ですが、勉強のお供はラジオでした。いつも自分の部屋でラジオを聞いていました。

 

大阪でもラジオは聞いていたのですが、大阪では聴いたことのない番組や芸能人の話が面白かったのを覚えています。一番好きだったのは伊集院光さんでした。名前もさることながら、声がかっこいいな、たぶんシュッとした男前なんだろうな、と思っていました。

 

その後、テレビで「どうも~!伊集院光です~!」と言いながら出て来た姿を見て、愕然としたのを覚えています。

 

思ってたのと違う!

 

いや、今でも好きですよ。伊集院さん。